『もしアドラーが上司だったら』
著者:小倉 広
「上司のあり方が変われば、職場も変わる。アドラー心理学で、部下との関係を劇的に改善しよう!」
はじめに
「部下との関係がうまくいかない」「頑張って指導しているのに、なぜか成果が出ない」——そんな悩みを抱える上司にとって、本書『もしアドラーが上司だったら』は、大きなヒントを与えてくれる一冊です。本書は、アドラー心理学の考え方をベースに、職場の人間関係を改善する方法をストーリー形式で解説しています。
アドラー心理学では、「課題の分離」「勇気づけ」「横の関係」などが重要視されますが、その根底にあるのが「共同体感覚」です。本書では、それらの概念が実際の職場でどのように活かせるのかを、主人公の成長を通じて学ぶことができます。
本書のあらすじ
物語の主人公は、ある企業に務める管理職の男性。彼は、部下との関係や育成に悩んでおり、「もっと厳しく指導すべきなのか?」と迷っています。そんなときに出会ったのが、アドラー心理学を実践する上司。彼のアドバイスを受けながら、主人公は少しずつ部下との関係を改善し、職場環境を変えていきます。
物語は実際の職場で起こりそうなシーンを交えながら進むため、「自分の会社ならどう応用できるか?」と考えながら読むことができます。
アドラー心理学で職場が変わる3つのポイント
① 課題の分離|部下の問題を抱え込まない
アドラー心理学の代表的な概念が「課題の分離」です。これは、「自分の課題」と「他者の課題」を明確に分けることを意味します。上司が部下の問題に過度に介入すると、部下の自立心が育たず、指示待ちの姿勢が続いてしまいます。
本書では、「他人の課題に立ち入らないことが、人間関係を良好にする第一歩だ」と述べられています。
例えば、部下が期限内に仕事を終わらせない場合、上司がすべてをフォローしてしまうと、部下は「ミスしても上司がカバーしてくれる」と考えてしまいます。本書では、上司は部下の課題に手を出すのではなく、「どうすれば次はうまくいくか?」を考えさせることが大切だと述べられています。
まずは「課題の分離」を意識し、部下や家族の問題を自分のものとして抱え込んでいないか振り返ってみることが大切だと思います。
② 勇気づけ|部下の成長を引き出す言葉の使い方
アドラー心理学では「人は勇気づけられることで成長する」と考えます。本書では、「できていない部分」ではなく、「できている部分」に目を向けて成長を促すことが大切だと述べられています。
「勇気づけとは、相手の能力を信じ、できると感じさせること」と強調されており、上司の役割を再考させられます。
例えば、部下がプレゼンで失敗したときに、上司が「なぜこんなミスをしたんだ?」と叱責すると、部下の自信は失われてしまいます。しかし、「資料の構成は分かりやすかったよ。次はもっとゆっくり話せると、さらに伝わりやすくなるね」とフィードバックすれば、部下は次に向けて前向きに努力することができます。
簡単なことのようで簡単ではありませんが、職場だけでなく、家族や友人にも「勇気づけ」の言葉を意識してみると良いと思います。
③ 横の関係と共同体感覚|指示するのではなく協力する
日本の職場では、上司と部下の「縦の関係」が重視されがちですが、アドラー心理学では「横の関係」、つまり対等な立場での関係性を築くことが重要とされています。
「上司は部下を支配する存在ではなく、共に成長するパートナーである」と繰り返し述べられています。
そして、横の関係の延長にあるのが「共同体感覚」です。これは、自分が組織の一員として貢献できているという感覚を持つことで、仕事のモチベーションを高める重要な要素です。
例えば、部下に仕事を任せるときに、「この作業をやっておいて」と一方的に指示するのではなく、「このプロジェクト、どう進めるのがいいと思う?」と意見を求めることで、部下の主体性を引き出せます。それによって、部下は自分が組織に貢献しているという実感を得られ、チーム全体の生産性が向上します。
本書の活用法|職場だけでなく日常生活にも応用できる
本書の魅力は、職場のマネジメントだけでなく、人間関係全般に応用できる点にあります。「課題の分離」「勇気づけ」「横の関係」という考え方は、上司と部下だけでなく、親子関係や夫婦関係、友人関係などどの人間関係にも当てはまります。
「相手の課題には口を出さない」「叱るよりも勇気づける」「対等な関係を意識する」という3つのポイントを実践するだけで、人間関係が驚くほどスムーズになったという声も多くあるようです。
まとめ|共同体感覚を育み、より良い人間関係を築こう
『もしアドラーが上司だったら』は、職場のマネジメントに悩む人はもちろん、家族や友人との関係を良くしたい人にも役立つ一冊です。
- 課題の分離 … 相手の問題を抱え込まない
- 勇気づけ … 成功体験を重視し、前向きな言葉を使う
- 横の関係と共同体感覚 … 上から目線ではなく、協力しながら関係を築く
これらの考え方を意識することで、職場の人間関係が良くなり、共同体感覚を育むことができます。
今日からできる小さな一歩として、まずは『課題の分離』を意識し、部下や家族の問題を自分のものとして抱え込んでいないか振り返ってみましょう。そこから、人間関係の新たな変化が始まるはずです。

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